クリスチャン・モローは2001年12月に誕生した新興ドメーヌである、と、言うと、不思議に思う人がいるかもしれない。 大きな目と恰幅のよい体格のクリスチャン・モローは、シャブリの名士として日本でも昔からお馴染み人物だからだ。ただし、彼が運営していたメゾンの名は、クリスチャン・モローではなくジャン・モローである。 ジャン・モローは1814年から続くシャブリの大手ネゴシアンであり、1904年にレ・クロの中の銘譲区画クロ・デ・ゾスピスを手に入れた。 ところがメゾンは97年、ニュイのボワゼ・グループに買収されてしまう。 互いの方針に違いを見たクリスチャンはクロ・デ・ゾスピスを含めたモロー家所有の畑を引き上げようとする。 がしかし、これにはボワゼ側も簡単には応じなかった。 結局、01年までブドウを提供し、その契約が切れてようやく新ドメーヌの創設にこぎつけたのだ。 折しもその年にはクリスチャンの息子、ファビアンがシャブリに戻ってきた。