コニャックはフランス西南部を流れ、ビスケー湾に注ぐシヤラント川沿いの地域が産地。原料ぶどうとして使われているのは、サンテミリオン(この地ではユニ・ブランという)種がほとんどです。このぶどうでつくるワインは酸が多く、アルコール度が低いので、ワインの場合これは弱点になりますが、ブランデーにすると長所に変わります。というのも、時間がたつと酸はやがて芳香成分に変化します。また、アルコール度数が低いので、たくさんのワインから少量のブランデーしか蒸留できないが、そのかわり、原料ぶどうに由未する香味がぐっと濃縮されて、ブランデーに溶け込むことになります。その結果、芳醇なコニャックが生まれてくることになるのです。
また、原料ぶどうがどの地区で穫れたかという点も、コニャックの味わいに影響します。法律はコニャック地方を土壌によって6っに区分し、100%その地区産のコニャックには地区名をつけて売ることを許しています。その6地区とは、
(1)グランド・シャンパーニュ(デリケートな香り、豊かなボデイのブランデーを生むが、熟成に年月がかかる)
(2)プティツト・シャンパーニュ((1)に似るが個性はやや穏和、熟成も比較的早め)
(3)ボルドリ(コシが強く、豊満な酒を生む。熟成は早いほう)
(4)ファン・ボア(若々しい感じの軽快な酒を生み、熟成は短期で十分)
(5)ボン・ボア(酒の風味は薄手。高級品には使わない)
(6)ボア・ゾルデイネール(上品さを欠き、並酒のべースになる)
なお、グランド・シャンパーニュ産とプティット・シャンパーニュ産だけをブレンドして、しかも前者の使用比率が50%以上のものは、特にフィーヌ・シャンパーニュと表示できます。
コニャックは、熟成の古い原酒と、若い原酒をブレンドして製品化される。その際、若い原酒の熟成年(コント)によって、☆☆☆(スリースター)とか、VSOP(ブイエスオーピー)という符号をつけることが多いのです。1983年に全国コニャック事務局(BNIC)では、そういう符号についての基準を次のように規制しました。
コニャツク原酒は、ぶどう収穫の翌年の3月末日までに蒸留を終わらなければなりません。翌4月1日から、樽の原酒はコント0と数えられて、それは翌年の3月末日まで続きます。4月1日からは、コント1となり、以降1年ごとに数が繰りあがります。
そして、コント2以上にならないと、コニャックとして売ることはできません。また、☆☆☆(スリースター)はコント2以上を使用したもの、VSOP(ブイエスオーピー)はコント4以上を使用したもの、XO(エックスオー),EXTRA(エクストラ),NAPOLEON(ナポレオン)はコント6以上を使用したものに表示することを許しています。ちなみにVSOPとは、very special old pale (古酒になって色が青っぽく落ち着いた)という意味ですが、ほかの意味については、勉強不足でスイマセン。それと、NAPOLEONに関しては、その蒸留所ごとに最高級と思われるものに付けられるのですが、蒸留所ごとのランクがあるため、ひとことにNAPOLEONといってもピンからキリまであるということがいえると思います。