シャンパーニュ地方におけるアンリオ家の歴史は1550年ごろまでさかのぼります。ランスでワインの取引に携わっていましたが、18世紀にワインの生産を開始。1808年にはついに自らの名をラベルに冠したシャンパーニュを始めて発売し、その後父から子へ世代が代わっても、品質にますます磨きをかけ、優れたシャンパーニュを世に送り続けています。現在はほとんどのメゾンが巨大資本の手に渡っていますが、アンリオはその名声を汚すことなく、現在も家族経営を守り続けています。アンリオでは、25haの自家所有畑のみならず、契約栽培についても優れた区画を保有する、信頼のおける農家と長期の契約を結びます。ワインに繊細さをもたらす、樹齢の高い樹を持っているかも重要なポイントです。使用するぶどうの大半はグランクリュかブルミエクリュの畑産で、ノン・ミレジメのブリュット・スーヴェランさえ、平均格付け率は97%と高く(他のメゾンでは平均90%とされる)、ぶどう品種ではシヤルドネ種とピノ・ノワール種のみを使用します。これはワインとしての表現力や熟成のポテンシャル、エレガントさを尊重する、アンリオ家のポリシーの表れです。 また、アンリオでは、多数の異なるクリュ(区画)と6つの異なるヴインテージのワインをアッサンブラージュします。ボトルに詰められたワインは、ガロ・ロマン期の白亜層の地下18メートルにあるカーヴにて、ゆっくりと熟成されます。シャンパーニュの基準を大幅に上回る時間をかけてボトルが地上に姿をあらわす時には、ワインは細やかな泡立ちとともに、アンリオならではの気品や、なめらかで複雑な風味を身にまとっていることでしょう。