現在、ピション=ロングヴィル=コンテス・ドゥ・ラランド(ピション・ラランド)は明らかに人気が高く、そして1978年からは、ポイヤックのなかでも一貫して輝くばかりのワインをつくり続けている。多くのヴィンテージでこの地域の3つの有名な一級シャトーと張り合い、時にはまさっている。1961年以来、ピション・ラランドのワインは大変な成功をおさめているが、1970年代終わりから1980年代初めにかけて、ランクザン夫人のエネルギッシュな舵取りのもとで、その品質が驚くべき高みにまで上りつめたのは疑う余地のないことだ。ワインは知的なつくり方をされ、暗い色合いで、しなやかで果実味に富み、なめらかで、若いうちから飲める。マルゴーのシャトー・パルメとともに、最も有名なメドックのシャトーとしての風格があり、ブレンドには相当量のメルロを使っている。ただ、ピション・ラランドには必要なタンニン、深み、豊かさがあって、10年から20年、ゆっくりと熟成させることができる。メルロの割合が高い(35%)ことで、ワインの柔らかく、肉付きのよい特徴の一部は説明できるだろう。 このシャトーはかつて、ひとつのピション=ロングヴィルという地所の一部分で、それが1850年に分割されたものだ。ランクザン夫人の父のエドゥアール・ミュイレが1924年に購入したのだが、現在の名声を築いたのは娘の方である。1980年代に資本が相当つぎ込まれた。1980年に新しい発酵室が、1988年に新しい樽熟成のためのセラーとテイスティング・ルーム(隣のシャトー・ラトゥールの壮観な眺め付きだ)がつくられ、そして1990年、シャトーの改修は完了した。 ランクザン夫人はシャトーに住んでいるが、場所はピション=ロングヴィル・バロンから道路を横切ったところだ。ブドウ畑はポイヤックとサン=ジュリアンの両方にまたがり、後者の性質がしばしばピション・ラランドのしなやかなスタイルの原因とされる。
http://www.pichon-comtesse.com