<日本でいいワインをつくるのは難しい>.
それは確かな事実です。多雨で肥沃な日本の風土で凝縮感のあるブドウを収穫するにはそうとうな手間隙と投資が必要です。外国のワイン産地であれば手をかけなくてもいいブドウが取れるし、出来たワインは上質でしかも安い、という通念は半分は正しい。でも半分は間違っています。
まず、初めから手をかけなくてもそれなりのブドウが取れるような場所で銘醸地と言われる所は世界中探してもありません。たとえばボルドーやブルゴーニュのような銘醸地には長きにわたる産地開拓と栽培システム構築の歴史があります。カリフォルニアのような新興産地はその歴史を吸収して自分たちの土地にあった栽培設備や技術を獲得して来ました。放っておいてもそれなりのブドウが取れる場所というと収穫期に乾燥が続く場所を想像しますが樹の上でブドウがレーズンになるというようなところでは必要以上に糖度が上がりすぎワインのエレガントさを損なうという事実もあるのです。気候条件のデメリットを克服してワインにとっていい条件をつくりだすのはワインをたしなむ人間の仕事です。もちろん、調整できないような極端な条件の下では人間の出る幕はありませんが。
次に、生産コストの低い例えばチリのような産地には確かに手頃なワインはありますが、値段の安さほどに目を見張るような飛びぬけた品質のワインはなかなかありません。逆にフランスには実に様々なレベルのワインがありAOC法によって細かくクラス化されていますがチリワインと同じ予算で済ませようとするならば満足のいくものに出会うことは案外少ないものです。また、同じ産地名のワインでも生産者によって品質はまちまちで、個性の違いというにはあまりにもお粗末なものも存在します。栽培方法、収穫量、収穫時期、醸造場のサニタリーなど様々な条件が重なってワインの風味は決まってきます。
ワインの質を決定づけるものは
気候や土壌だけではないということを知ってください。
いいワインをつくるには人間の知恵と情熱が不可欠なのです。
畑から作り上げたワインが出来るまで、ホームページにて樹の成長や私たちの悪戦苦闘ぶりを紹介してゆきたいと思います。
ワインづくりは根気の要る仕事です。
どうか皆さんも辛抱強く、お付き合いください。
(旭洋酒「ホームページ 」より)