1839年、アイルランドのひとりの青年がケンタッキーフェアフィールドへ辿り着いた。 ヘンリーマッケンナ。故郷アイルランドの蒸溜所で働いていた時の経験をいかし、 彼は『幻のウイスキー』をつくることになる。それは1855年のことであった。 ほとんどの行程がハンドメイド、だからこの当時は一日一樽にも満たなかった。 マッケンナは質が低下することを何よりも嫌ったのだ。深いコク、熟成感溢れた その風味は人々の評判になり、手に入りづらいこともあってか、 いつしか『幻のバーボン』と呼ばれるようになった。 限定した生産、そして譲渡不能の販売許可証。 アイリッシュ魂はバーボンの傑作を生んだのである。 ◆1883年にレンガ造りの蒸溜所が完成したが、行程のほとんどは人の手によるもの。 それゆえ、ヘンリーマッケンナは『オールドファッションド・ハンドメイド・ウイスキー』と呼ばれ、 称賛され続けてきた。それは、時が流れ、近代的な設備が整った現在でも変わらない。 バーボンウイスキーづくりは、頑ななまでに伝統に忠実だ。原料を粉砕し、 ライムストーンウォーターを加えてモロミをつくり、醗酵へ。サワーマッシュ方式で 酸が発生するのを防ぎ、蒸溜後、ホワイト・オークの樽という寝床へ。 もう十分というほど眠ったら、ヘンリーマッケンナ『ジャグ』の誕生だ。